土地活用通信 2025年12月号 - 愛知 岐阜で土地をお持ちの地主様にワンランク上の土地活用をご提案いたします|土地活用の原点
土地活用通信

土地活用通信 2025年12月号

賃貸管理ニュース

2025年人気の設備ランキングについて

今年も賃貸住宅新聞より人気の設備ランキングが発表されました。家主の皆様におかれましては、2026年の繁忙期に向けて、最新の入居者ニーズを把握し、1室でも多く空室を埋められるようにチェックしておきましょう。

1)この設備があれば周辺相場より家賃が高く決まる

こちらのランキングでは昨年まで5年以上1位だった『インターネット無料』がランクダウンしております。昨今、SNSやネットゲーム、動画配信サービスの普及により、通信速度にもこだわりを持つ人が増えております。そういった背景から高速インターネットの需要が大きく増加しております。また24時間利用可能ごみ置き場が初のランクインとなっており、生活利便性を求める方が増えています。都市ガスに関しては、生活コストを少しでも抑えるためにLPガス物件が敬遠される傾向が増しているとも言えるでしょう。

2)この設備がなければ決まらない

 昨年に引き続き、単身者向け、ファミリー向けともにエアコンが1位となっております。入居が決まったら取り付けするという考えの方もいらっしゃるかと思いますが、基本的には省エネ性の高い新しいエアコンを設置済みの状態で、内見を行う方がより入居は決まりやすくなります。また水栓もシングルレバーが当たり前となってきており、古めかしい二口水栓は敬遠されます。まずは見た目を良くして、そこにプラスアルファで生活利便性に関わる設備を導入していくことをお勧めします。

業界ニュース

外国籍・タトゥーを理由とする契約拒否、入居拒否が争われた裁判例

弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 大橋 良二 氏

多様な背景をもつ入居希望者が増える中で、入居者の国籍や外見を理由に契約を拒否する対応が法的に問題となるケースが見られます。
今回は、外国籍を理由に契約を拒否した事案(京都地裁平成19年10月2日判決、RETIO No.69掲載)と、タトゥーを理由に引渡しを拒否した事案(東京地裁令和4年10月12日判決、RETIO No.135掲載)を紹介します。

■ 外国籍を理由に契約を拒否した事例(契約締結前の事案)

ある会社は、自社の外国籍従業員の入居を目的として、新築マンションの賃貸借契約を申し込みました。敷金・礼金・管理費など約47万円を支払い、契約書も提出済みでしたが、貸主は最終段階で「外国人だから」という理由で契約を拒否しました。

京都地裁は、契約自体は未成立としつつも、貸主の対応について「国籍を理由に契約を拒否することは合理性を欠き、社会通念上許されない」と判断しました。
その結果、貸主の行為を信義則違反・不法行為と認定し、入居予定者に対し、慰謝料100万円と弁護士費用10万円の合計110万円の支払いを命じました。

■ 解説
 契約が成立していない段階でも違法と評価されています。実務上も入居申込みに対して内諾した後、契約締結前に合理的な理由なく貸主側からキャンセルすることによるトラブルは、少なからず見かけます。

■ タトゥーを理由に引渡しを拒否した事例(契約締結後の事案)

借主は、住宅の賃貸契約を締結し、入居準備を進めていました。ところが、鍵の引渡し直前に貸主が「借主にタトゥーがある」と知り、物件の引渡しを拒否しました。
東京地裁は、契約はすでに成立していることを前提に、「タトゥーを理由に履行(引渡し)を拒むことに合理的根拠はない」と判断しました。
貸主の行為は契約上の履行遅滞に該当するとして、発注した家具配送料や仲介手数料等の約85万円の損害賠償と、受領した賃料や敷金等の約220万円の返還を命じました

■ 解説
 貸主は、「居住者にタトゥーが入っていると本件マンションの価値を減少させる」「悪評が広がる」「タトゥーがあることの告知義務がある」等を主張しましたが、裁判所はこれを認めませんでした。

■裁判例の位置づけ

 これら二つの判決は、入居(希望)者の国籍や外見を理由に契約上の義務を履行しなかったことが問題とされた事案です。外国籍を理由にした拒否は契約締結前の段階、タトゥーを理由にした拒否は契約締結後の段階で起きたものですが、いずれも裁判所は、貸主の対応が合理的な理由を欠くとして賠償を命じました。

■まとめ

 近年、入居希望者の多様化が進む中で、国籍や外見などを理由とする入居拒否や引渡し拒否がトラブルとなり、裁判で争われることもあるという点は、オーナーとして知っておくべき重要な事例です。

 

土地活用コーナー①

相続税対策の切り札が危ない? 節税効果9割減も! 不動産の収益性と評価額のズレに政府がメス

政府の税制調査会は11月13日の専門家会合で、不動産を活用した相続税の節税策について議論した。国税庁は賃貸マンションを一棟丸ごと購入したり、商業ビルを小口化したりする事例で節税効果が大きいと指摘した。今後、政府が対策に乗り出す可能性がある。

相続税法には財産を時価で評価し、相続された人が課税額を自ら計算して納めるルールがある。不動産の場合は時価の算定が難しいため、国税庁が毎年発表する路線価などを基準とする。

路線価は足元の売買市場の価格動向を反映しにくく、地価が上昇している都心部などでは実勢価格よりも低くなる傾向がある。現金よりも不動産で相続した方が税負担を減らせるため、節税目的で不動産を購入する富裕層が多いとされる。

今回、国税庁が問題視したケースは大きく2つある。1つが賃貸用不動産を丸ごと購入する場合だ。会合では19年8月に東京都千代田区の鉄筋コンクリート造11階建ての賃貸マンション1棟を21億円で購入して、22年5月の相続時の評価額が4.2億円となった事例を紹介した。

もう1つが賃貸用不動産の持ち分を小口化するケースだ。信託などの仕組みを活用してオフィスビルや賃貸マンションを共同で所有し、賃料収入などを分け合う投資商品を指し、不動産会社や金融機関が販売している。13日の会合では3000万円で購入した小口化商品の評価額が480万円となり、贈与税が1000万円以上軽減された事例を取り上げた。

こうした事例が起きるのは、不動産の価値を収益物件として測る場合と、相続資産として評価する場合とで差があるためだ。収益物件の場合、借り主が多く、賃料収入が大きいほど価値は上がる。相続資産として評価した場合、借り主が多いほど利用の制約があるとみなされ、評価額はかえって下がる。

いずれも24年に始まった「タワマン節税」を巡る是正措置では網にかからなかったものだ。13日の会合では出席者から「問題が極めて大きい」として、不動産の収益性を考慮して評価するよう改めるべきだという声が上がった。資産評価に関する通達について「時代に合った内容に更新すべきだ」との意見もあった。

国税庁の担当者は会合後の記者会見で「問題意識を持っているが、(ルールの)改正をやるという議論をしているわけではない」と述べたものの、不公平感の強い事例について政府が対策に乗り出す可能性はある。不動産投資、相続税対策について、お悩みの方は弊社までご一報ください。
※出典:日本経済新聞

 

土地活用コーナー②

空き家の長期保有でコスト負担・税制面が不利に
放置が生む経済的損失と周辺への影響

全国で900万戸ある空き家。深刻な事態を避けるには早めの対応が不可欠だ。空き家相続前の話し合いなどによって、空き家のままの割合が減るとの調査もある。逆に放置すれば、自分の家計にも、周辺にも経済的損失が及びかねない。

国土交通省の「2024年空き家所有者実態調査」によると、相続で取得した空き家で、相続前に被相続人との話し合いや遺言作成支援など事前対策をした場合、対策なしの場合より空き家のままの割合が約16ポイントも減った。

なぜ、対策の有無で差がつくのか。「相続から時間が経過するとともに空き家所有者の高齢化が進む。共有状態なら原則全員の同意が必要なのに、売却などの話し合いはどんどん難しくなる」ためだ。逆に早期対応ならスムーズに解決する例は多い。

また空き家を長く保有すれば、その分コスト負担は増える。一般的に固定資産税や光熱費、水道料金、火災保険料がかかり、庭付きなら剪定(せんてい)費、マンションなら管理費や修繕積立金も要る。

さらに税制面で不利になることもある。相続空き家を売却した場合、税負担を抑える制度があるが、一定期間内の売却が必要で長期間、話し合いがまとまらないと利用機会を失う。制度は主に2つ。一定条件を満たす戸建ての売却時に受けられる「3000万円特別控除」と、相続税がかかった場合、納めた税の一定額を取得費に加算して税負担を抑える「取得費加算特例」。2つは併用不可だ。

どちらか選べる場合は相続税が非常に高い特殊な場合を除けば、多くは特別控除が有利。一方で、3000万円特別控除が適用外のマンションなども取得費加算特例なら使える例がある。早く情報をつかみ、比較しないと最適な選択も困難なため、専門家への相談をお勧めします。

 

税務相談コーナー

離婚して財産をもらったときに贈与税がかかるか

税理士法人Kollectスターズ 税理士 後藤 勇輝 氏

婚姻関係の清算として、離婚した場合に配偶者へ財産の分与をすることがあります。その場合に、税金がかかるかどうかの質問を多く受けます。どれくらいの金額までか、どのような財産ならばよいかなど、ご不安があるようです。今回は、財産分与の税金について見ていきます。

【財産分与の税金の考え方】
  離婚した時の財産分与についての課税の考え方は、原則として税金を課さないとされております。これは、贈与ではなく夫婦の財産に関する清算、生活費の保障といった面があるため、所得税や贈与税が課されることはないというのが理屈となっております。

【どのくらいの金額?】
 財産分与についての金額の具体的な算定は、弁護士さんのお仕事の範囲であるため、金額の大小は分かりかねますが、その夫婦の資産状況により、金額によっては贈与税が課税される場合もあるため注意が必要です。仮に、夫婦で築いた財産が1,000万円あったような場合に、すべて一方に分与するような場合は、その事情と算定の考え方は確認しておいた方ががいいでしょう。弁護士さんが算定を行って金額を決定する際に、贈与税が課されないように慎重に進めていきます。
贈与税には基礎控除額という課税されない目安はありますが、財産分与がいくらならば課税されるといった規定はありません。あくまでも、もらい過ぎたら贈与税を課される可能性があるという個別事情による判断となるため、金額の算定名目の整理と金額の大小の確認は慎重に検討が必要となります。

【不動産を財産分与した場合】
住んでいた自宅などを分与する場合は、上記とは異なる取り扱いとなります。不動産を無償で譲渡する場合は、譲渡したときに譲渡所得の対象とされますため、財産分与する場合も、譲渡した側が確定申告を行う必要があります。この場合、譲渡したとされる金額は時価とされており、路線価による土地の評価金額とは異なりますため、不動産鑑定士などの専門家による金額の査定を行った方がよいでしょう。

【まとめ】
・離婚の際のお金の清算については、名目などを考慮して慎重に決める必要があります。
・夫婦の財産とのバランスで、一方がもらいすぎると贈与税を課される可能性があります。
・不動産を財産分与する場合は、時価で譲渡所得課税となり確定申告が必要となります。

具体的な手続きは、事前に税理士・税務署にて詳細の確認をされて進めていただけるようお願いいたします。

 

不動産ソリューションコーナー

2026年繁忙期に向けて 入居者の入居者の最新ニーズを的確に捉えよう!

先の記事でも紹介しました『2025年人気の設備ランキング』と併せて、『入居希望者に敬遠される設備』と『今後需要が高まると考えられる設備』が公表されました。こちらも物件のグレードアップの参考にしていきましょう。

【入居希望者に敬遠される設備】
一言でいうと、現在の若年層にとって馴染みのない設備が並んでいます。和式トイレやバランス釜、電気コンロといったものは育った環境で触れてこなかった設備と言えるでしょう。和室を含め和テイストなものは若年層には受け入れられないということをまずは理解しましょう。その上で、物件の大幅なグレードアップが難しい場合は、ターゲットを高齢者層や、古い設備に対して抵抗のない外国人等に見据えていくとよいでしょう。

【今後需要が高まると考えられる設備】
こちらは簡単に言うと、今の時代にはまだ当たり前ではないですが、あると生活の幅が広がる設備となっています。賃貸物件でIoT設備やホームセキュリティーはまだそこまで普及しておりませんが、10年後にはあるのが当たり前になっているかもしれません。しかし、今の時点で導入できていれば競合物件と差別化ができるものがほとんどです。また、導入することによって賃料の値上げにも期待できます。投資資金に余裕のある方はお勧めできるものが多いと言えるでしょう。

 

お問合せ先
土地活用相続対策研究会
株式会社野田建設

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